お世話になります。インキュベクスの青井です。

先日もこのブログでお伝えさせていただきましたが、最近、通所介護(デイサービス)事業者様に「訪問看護ステーション」へ参入されるケースが増えております。

本日は、デイサービスからの参入事例として来春の新規開業に向け準備を進めている「株式会社ふたばケアメディカル 代表 石井 徳雄様」のインタビューをお送りします。

地域のニーズに応え、フットワーク軽く動ける訪問看護を

これまでの経歴、起業を目指したきっかけ

石井社長、本日はよろしくお願いします。


よろしくお願いします。


まず、石井社長のご経歴をお聞かせください。

石井社長は、看護師として病院で勤務された後にデイサービスで独立起業されたんですね。


はい。僕は福祉の専門学校を出た後、看護学校に入って、卒業後は看護師としてずっと病院で働いてきました。

デイサービス開業のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災です。

僕が生まれたのは、ちょうど原発が爆発した福島県の双葉郡なんです。その時、荒川区の総合病院で働いていたんですが、何か故郷の役に立ちたいと思い、すぐに現地に向かいました。

放射線が危険だとか、まだ常磐道・高速道路もぐちゃぐちゃの時に車に乗って、物資を積んで、現地で避難所のお手伝いをさせていただきました。

病院で働いていて、ずっと患者さんと向き合っているのもすごくいいことだと思うのですが、もう少し地域の役に立ってみたい、という思いがありまして。

そのときデイサービスのお手伝いもしていたので、自分でもやってみようかなと思ったのが、一つのきっかけでした。


実際に起業されるというのは大変だったと思うのですが、もともと独立希望という思いがあったのでしょうか。


そうですね。自分で何かやってみたいという気持ちが根底にあったと思います。

それをずっと抱えて働いてきたんです。病院の看護師って、どうしても指示を受けて動くことが多くて。今日はこの点滴をしてバイタルとってと、時間にも追われます。

その中で、何か自分で考えて、仕事をとってきてという、自分の力を試すようなことをやってみたいという気持ちはありました。


時代的にもデイサービスに参入される方が増えてきた時期ですね。

現在、地域密着型デイサービスをとても順調に運営されていますね。


開業して6年になるところですが、ようやく軌道に乗ってきたというところでしょうか。

うちのデイは、スタッフに看護師が所属していますので、医療的ケアや処置も対応できることが強みです。

地域密着型で16人定員の小さなデイサービスですが、新規の方のご利用を毎日お断りしなければならない状況で。

医療的ニーズの高まりを感じて

それは素晴らしいですね。

やはり以前よりも医療ニーズが増えてきたということでしょうか。


そうですね。デイサービスはたくさんあるんですが、「インシュリン注射に対応してもらえない」とか、「ストーマの交換をやってもらえない」というところもあるので、対応できるデイサービスということでニーズがあったのかなとは思います。


石井社長自身が看護師さんということもあり、医療に強いという要素を打ち出していこうということは、意識されていましたか?


そうですね。現状、看護師は私を含めて5名です。常勤3名とパート2人が在籍しているデイサービスは、墨田区でまずないと思っています。

ほかに介護福祉士とヘルパーがいて、従業員は全部で12名です。人員配置的にも毎日5名、必ず置いています。


利用される方は、医療的処置が必要な方が多いですか?


中にはいらっしゃいますが、そうではない方が多いです。看護師がいるから安心できるというところが大きいようですね。


なるほどですね。

ちなみに会社名「ふたばケアメディカル」という名称は、ご自身の故郷にちなんでいるそうですね。


はい。故郷双葉郡の「ふたば」というのを使いたいな、というのがまずあって。

自分の中で「福島の復興」という気持ちが当時は強くありました。こちらに出てきている福島の人たちの目に「ふたば」というのが目に留まればいいな、と。

デイサービスの「よのもり」という名称も、常磐線をずっとのぼっていくと「夜ノ森駅」というのがあって、桜のきれいな公園があるんです。

「こっち(東京)で頑張っているんだぞ」というのを見せたいな、という思いも一つありますね。


なるほど。「ふたば」と「よのもり」が組み合わせると、知っている人、わかる人にはわかる、という。


そうなんです。道で「あの夜ノ森ですよね」と声をかけられたり。


それは、嬉しいですね。

訪問看護ステーション立ち上げについて

今回、訪問看護ステーションの新規立ち上げを決断されましたが、訪問看護に参入しようと思われたきっかけをお聞かせいただけますか。


はい、これも震災の時から思っていたことですが、避難所生活をしていると、地域の医療がまったく見えないんです。

当時、避難所で生活している人、その周辺の自宅で生活している人で、医療的ケアが必要な場合があったんですが、そこに行ってくれる人がいない・・・。

それは当時の福島での話ですが、やはりそういう災害の時などに動けるのは、我々訪問をやれる看護師だな、と強く感じました。

正直、デイがうまくいっているんだから、もう1か所デイをやれば、という声もあるんですが、今後、東京でも大きな地震があるかもしれない。

施設という箱ものだと、つぶれてしまうと機能しませんが、訪問看護ならある程度の機動力というのが確保できるので、リスクを分散させる意味でも、別事業を何かやったほうがいいというのがありましたね。


なるほど。確かに訪問看護ならではの対応力、そして経営的なリスク分散も考慮されたんですね。

リスクと言えば、デイにおいてコロナの影響は、いかがでしたか?

一般的なデイサービスではコロナの影響で売り上げがかなり下がってしまったところが多いと思いますが。


そうですね。4月~5月にかけては緊急事態宣言の影響で利用が控えられました。でも一時的なもので、皆さん、すぐに戻っていらっしゃいました。

手洗いや消毒、マスクの着用、テーブルやドアノブを拭いたりなど、できる対策を徹底してやって、「これだけやれば大丈夫」というところで営業しています。


有難うございます。

では石井社長が「訪問看護をやる」と決められたことに対してスタッフさん、特に看護師の方の反応はいかがでしたか?


そうですね。うちのスタッフは、訪問看護をやることには概ね賛成してくれました。

ただ、訪問看護を実際に現場に入ってやるとなると、また別の話で…。他人の家に入り込んでやることに抵抗があるスタッフもいますので、訪看をやりたいという人を新たに採用する必要性がありました。


なるほどですね。

一度、訪問看護ステーションを作ろうと動かれたもの、最終的に看護師が集まらずに断念されたことがあったとお聞きしましたが…。


そうなんです。2020年7月オープンを目指して動いていたんですが、2月、3月にコロナが流行り出して。

それで採用予定だった人たちがダメになったりして、ここはいったん引くべきだな、という経緯があったんです。


今回、訪問看護の開業・運営をご一緒させていただくことになったのですが、私どもとのご縁は、資料請求していただき、お話させて頂いたことが最初ですね。


実は何年も前からインキュベクスさんのことは知っていたんです。ホームページも目を通させていただいていました。

でも、まずは自分たちでやるのがいいんじゃないかと思いまして。

ところが、コロナでダメになったり、いろいろ経験してみて、やはり開業コンサルタント的な立場の人に入ってもらい、きちんとスタートラインを整えたかったというのがあります。

ほかの会社さんの話も聞いたんですが、インキュベクスさんは一番話が具体的で、しっかりしている印象がありました。


有難うございます。

私どもは、訪問看護を事業として成功していただくことこそが社会課題の解決~社会貢献につながると考えております。

立ち上げたものの、途中でサービスを提供出来なくなってしまいますと何より地域やご利用者様にご迷惑がかかってしまいます。

立ち上げ段階から採用や営業、教育など丁寧に仕組み作りをすることで足腰の強いステーションを作ることができます。

これからしっかりサポートさせていただきます。

独立希望の看護師さんとのお引き合わせについて

今回、私たちの引き合わせという形で、将来独立を考えられている呉井様(看護師)をご紹介させていただきました。

石井様は、ほぼ即決、という形で採用されましたが、これまで従業員さんを何人も採用されてきた経営者として、呉井様のことをどう思われていますか。


ご紹介いただいたとき、「まだ経験は浅いです」ということだったので、どうだろうかと思ったのですが、会ってみたらすごく好青年だし、自分の考えも持っている印象がありました。人ときちんと話ができるという点も良かったですね。

彼は「経験を積んで、将来は独立したい」という思いを持っていますが、それもぜひチャレンジしてほしいと思います。

経験を積んで、力をつけて、「このへんで独立します」というのでも、全然かまわないんです。

自分も会社をやってみて良かったというのがあるので、そういうのを味わってもらいたいという気持ちもありますね。


呉井様にお聞きします。

今回石井社長との出会いに際して、最初から「自分の人生を変えるつもりで来ました」というふうにおっしゃっていましたね。

石井社長のもとで新たなチャレンジをされるということで、今どんな思いですか。


石井社長と会う前から「独立したり、何かを成し遂げたい」という思いがありましたけど、何をしていいかわからなかったんです。

インキュベクスさんに石井社長を紹介していただき、その理念を聞いたとき、地域のことをすごく考えていて、熱い人だなと思いました。

それに、自分の力でデイサービス事業をゼロから立ち上げた経験を持っていて、「何も学べないよ」と石井社長は言いますが、僕からしたら自分がしたかったことを実現している人です。


確かに看護師として独立起業をされているという点で先輩ですね。


そうですね。自分のキャリアを積むうえで、石井社長に色々と学ばせていただきたいという気持ちがあります。

地域のニーズ、現場スタッフの要望に応えるステーションを目指して

これまで医療に強いデイサービスを運営されてきましたが、新たに訪問看護ステーションを始めるにあたり、どんなステーションを目指していかれますか?


どうしましょうかね(笑)。

そこはまだはっきり決めていないんですよ。地域の方の要望に応えていく、というのは一つあるので、地域の医療機関とうまく連携を取れていくといいなというのは、まずありますけど。

今までの経験で言えば、オペ室や救命救急をやり、急性期病棟、整形外科もやってきました。オールマイティには動けると思います。


有難うございます。

これからはより医療依存度の高い方々が在宅でも増えてくると思います。緩和ケアや看取りまで、医療的な処置やケアができることが求められていますよね。


そうですね。そういうところを打ち出して、地域に発信していければいいと思っています。


これからまだメンバーを募集されるにあたり、これから一緒に働くスタッフさんに伝えたいことはありますか


うちはまだ小さい会社ですが、良い組織を作っていきたと思っているんです。

良い組織ってなんなんだ、というと難しいんですが、当然、福利厚生がしっかりしていること、会社の理念に沿って職員同士がいがみ合うことなく、仲良くしっかり働ける環境を作りたいと思っています。


呉井様のような、将来のキャリアを考えている方もそうですし、子育て中だからパートのような形の勤務を考えられている方、コロナのこともあって新しい環境で働きたい看護師さんなど、いろんな方がいらっしゃいますよね。


はい。オープニングスタッフということもあって、1から作り上げていくのが好きな人もいいと思います。


僕が代表だからといって全部口出していくんじゃなくて、現場のスタッフに現場を作ってもらいたい、という気持ちは常にありますね。

地域の実情、スタッフの実情に合ったステーションになったらいいなと思いますね。


石井社長、呉井様、ありがとうございます。

今後の「FCM訪問看護ステーションすみだ」を楽しみにしています。